難病ALSと向き合う“泣く葬儀屋”。家族に声を残すため、63歳で歌を形にした。

今回は、葬儀社の代表として多くの人生を見送り、現在は保護司としても活動する小此木武夫さんに密着しました。

葬儀の現場で、命の重みと向き合い続けてきた小此木さん。
そんな中、難病ALSと診断され自身の人生にも大きな変化が訪れました。

それでも小此木さんが大切にしているのは家族と過ごす時間。そして「声を残すこと」。

子どもたちへの想いを込めた楽曲制作や、今を大切に生きる姿について伺いました。


MUSICBOOSTはこんな方におすすめです。
・自分の声を形に残したい
・家族への想いを歌にしたい
・年齢を理由に挑戦をあきらめたくない
・病気や不安を抱えながらも前に進みたい
・オリジナル楽曲を制作したい
・人生の節目に、自分だけの歌を残したい

ミュージックブースト参加者

小此木武夫

63歳。 葬儀社代表を務めながら保護司としても活動。 40歳頃から20年以上、多くの人生の最期に寄り添う。 100歳を超えてのお葬式もあれば、幼い子どもを見送る現場もある。 感情を抑えきれず涙を流すことも。 ご遺族から「泣いてくれてありがとう」と言われた経験から、心を隠さず“泣く葬儀屋”として、人の命と向き合い続けている。 難病ALSと戦いながら、家族への想いを歌として残すために挑戦。

命を見送る仕事の中で、心を隠さずに向き合ってきた。

まずは自己紹介をお願いします。

小此木武夫です。
63歳です。

現在は、葬儀社の代表と、保護司をやっています。

葬儀の仕事は40歳くらいから始めたので、もう20年以上になります。

葬儀のお仕事で印象に残っていることはありますか?

たくさんあります。

100歳を超えて亡くなられた方のお葬式は、悲しみだけではなく少しお祝いに近い空気になることもあります。

一方で、4歳や5歳のお子さんが亡くなるお葬式もあります。

そういう時は、本当に辛いです。

進行するのも辛いですし、どうしても涙が止まらなくなることがあります。

葬儀の場で泣いてしまうこともあるんですね。

はい。

先輩からは「泣いてはいけない」と言われたこともありました。

でも、どうしても抑えられずに涙が出てしまったことがあります。

その時、ご遺族の方から「葬儀屋さんも泣いてくれてありがとう」と言っていただきました。

その言葉を聞いて、泣いてもいいのかなと思えたんです。

それからは、心を無理に隠しすぎずご遺族と向き合うようにしています。

“泣く葬儀屋”という言葉が、とても印象的です。

そうですね。

自分で言うのも変ですが、私は“泣く葬儀屋”なのかもしれません。

もちろん、仕事として進めなければいけない部分はあります。

でも、人が亡くなるということに対して、心を完全に隠すことはできません。

その人の人生や、残されたご家族の気持ちを考えると、どうしても感情が出てしまうんです。

それも自分らしい向き合い方だと思っています。

保護司もされているんですよね。

はい。
保護司もやっています。

始めたのは、50歳になる少し前くらいです。

きっかけは妻のすすめでした。

自分自身も、若い頃はどちらかというとやんちゃな方だったと思います。

犯罪をしたり逮捕されたりしたことはありません。

でも、道を外れそうになる子の気持ちは少し分かる部分があると思いました。

保護司として大切にしていることは何ですか?

寄り添うことです。

何か問題を起こした子にも、必ず何か理由があると思っています。

もちろん、やったことが許されるわけではありません。

でも、そこで終わりにするのではなく、もう一度社会の中で暮らしていけるように支える。

それは本人のためにも、社会のためにもなると思っています。

だから、話を聞くことを大切にしています。

家族と過ごす時間が、何よりの薬になっている。

ご家族との雰囲気がとても自然ですね。

そうですね。

家族と一緒にいる時間が、自分にとって一番幸せです。

妻も子どもたちも、本当に大切な存在です。

自慢のようになってしまいますが、子どもたちは優秀ですし、妻は優しくて可愛いです。

家族と一緒にいるだけで癒されます。

キャンプもよく行かれていたんですか?

子どもが小学校6年生くらいまでは、毎月1回くらい行っていました。

キャンプでは、自分で作って食べる楽しさがあります。

ホットサンドのような料理も、子どもたちはすごく喜ぶんです。

遊び半分でも、自分で作って食べるという経験が楽しいんですよね。

子育てで大切にしてきたことはありますか?

好きにさせることです。

特に勉強は、好きになれば勝手にやると思っています。

妻はとても優秀で、勉強を楽しいと思える人でした。

自分にはそれが少し分からなかったので、子どもが生まれた時に夫婦で話しました。

「勉強を好きになるように育てよう」と。

ひらがなが一文字できただけでも、大げさなくらい喜びました。

そうすると、子どももどんどん進んでいくんです。

お子さんたちも音楽に関わっていますよね。

はい。

子どもたちも音楽が好きです。

吹奏楽をやっていたり、ドラムをやっていたりします。

絶対音感のように、音の違いが分かる子もいます。

家の中に音楽が自然にある感じですね。

ビートルズから始まった、音楽への憧れ。

音楽を好きになったきっかけは何ですか?

やっぱりビートルズです。

ビートルズが解散した時、自分は小学校2年生くらいでした。

リアルタイムで見ていたわけではありません。

でも、東京の親戚のおじさんがビートルズのレコードを持ってきてくれたんです。

小学生ながらに「なんかいいな」と思いました。

そこからアルバムを1枚ずつ買って、どんどんハマっていきました。

英語の歌にも興味があったんですね。

はい。

勉強は好きではありませんでした。

でも、英語の歌を歌いたいから、分からない単語を辞書で調べたりしていました。

人前で歌った時に、女の子から「うまい」と言われたことがあって。

それが嬉しくて、少し調子に乗っていたところもあります。

でも、それくらい歌うことが好きでした。

ライブハウスなどで歌った経験もありますか?

ライブハウスというより、生バンドが入っているパブのような場所がありました。

そこでは、譜面を持っていくと、知らない曲でも演奏してくれるんです。

そこでビートルズを歌ったりしていました。

本格的な活動というほどではありませんが、ちょこちょこ人前で歌うことはありました。

自分の歌を形にしたい気持ちは前からありましたか?

ありました。

60歳になって、好きなもので何か形を残せたらいいなと思いました。

売れる、売れないということではありません。

ただ、自分の声を何かに残したい。

できるなら、歌という形で残してみたいと思いました。

ALSと向き合う中で、 “声を残す”意味が大きくなった。

体の異変に気づいたのはいつ頃ですか?

去年の1月頃から、少し変だなと思うことがありました。

病院に行っても、最初は年齢のせいではないかと言われました。

でも、通っていたパーソナルジムのトレーナーが「これだけトレーニングしているのに筋力が落ちるのはおかしい」と言ってくれたんです。

それで神経の病院に行った方がいいと言われ、検査を受けることになりました。

最終的に、7月頃にALSだと分かりました。

診断を受けた時は、どんなお気持ちでしたか?

やはり怖かったです。

今はまだ動ける部分もあります。

でも、これからどうなっていくのかを考えると、不安になることがあります。

まだ来ていない未来のことを、つい心配してしまうんです。

「今はまだ体が動くのだから、今を楽しめばいい」そう思う自分もいます。

でも一方で「これからできないことが増えていく」と不安になる自分もいます。

その間で葛藤している感じです。

日常生活で変化を感じる場面はありますか?

あります。

もともとは体を鍛えていて、ベンチプレスで100kgを上げていたこともありました。

でも今は、力仕事や細かい作業が少しずつ苦手になっています。

字を書くことや、お箸を使うことも以前より大変に感じることがあります。

周りから見ると、まだ普通に見えるかもしれません。

でも、自分自身は日々の中で変化を感じています。

ご飯を食べる時や、仕事でサインをする時など小さな場面で実感するんです。

その中で、歌を残す意味も大きくなったのでしょうか。

そうですね。

いずれ歌えなくなるかもしれない。

そう考えると、歌えるうちにたくさん歌いたいと思います。

今回、自分の声を残せたことは、本当に良かったと思っています。

タイミングとしても、今で良かったと感じています。

MUSIC BOOSTでは、どんな曲を作りたいと思いましたか?

最初から明確に決まっていたわけではありません。

プロデューサーの方と打ち合わせをする中で、改めて自分が何を大切にしているのかを考えました。

その時に、やっぱり自分は家族が好きなんだと感じました。

特に、子どもたちに向けて歌えたらいいなと思いました。

楽曲には、どんな想いを込めましたか?

子どもが生まれた時のことは、今でも鮮明に覚えています。

その子がこれから歩んでいく道が、少しでも温かいものになるように。

そんな想いを込めました。

大きくなって結婚式を迎える時に、その曲を歌えたら最高だと思います。

歌えるかどうかは分かりません。

でも、そういう想いを残せたことが、自分にとって大きいです。

長い未来よりも、今日を家族と楽しみたい。

今の楽しみは何ですか?

長いスパンで計画を立てるというより、今は近い楽しみを大切にしています。

誕生日に家族でキャンプに行く予定があります。

それが直近の楽しみです。

あとは、妻と話していて今年中に家族で伊勢神宮に行きたいと思っています。

そういう家族との時間が、自分にとって一番の楽しみです。

家族と過ごす時間が、本当に大きいんですね。

はい。

家族とどこかへ行くこと。
家族と遊ぶこと。
一緒にいること。

それが自分にとって一番の薬です。

外に出るといろいろ余計なことを考えてしまうこともあります。

でも、家族と一緒にいる時はそういう不安を忘れて楽しく過ごせます。

本当にありがたいです。

これからの目標を教えてください。

大きな目標というより、まずは今できることを大切にしたいです。

歌えるうちに歌いたい。
動けるうちに家族と出かけたい。
伝えられるうちに想いを伝えたい。

そう思っています。

家族と過ごす時間を大切にしながら、自分の声を残していきたいです。

小此木さんにとって、歌とはどんな存在ですか?

自分の想いを残せるものです。

言葉だけでは伝えきれないことも、歌なら残せる気がします。

特に、子どもたちへの想いは時間が経っても残ってほしいです。

いつか子どもたちが大きくなった時に、この歌を聴いてくれたら嬉しいです。

その時に父親がどんな気持ちでいたのかが、少しでも伝わればいいなと思います。

これから挑戦する方へメッセージをお願いします。

やりたいと思ったことは、できるうちにやった方がいいと思います。

自分ももっと早く形にしておけばよかったと思うことがあります。

でも、今だからこそ残せるものもあります。

年齢や環境、体のことを理由に、あきらめてしまうのはもったいないです。

歌でも、言葉でも、何でもいい。

大切な人に伝えたい想いがあるなら、形にして残しておくことには意味があります。

今できることを今やる。

それが、人生を少しでも温かくしてくれると思います。

あなたの「好き」を、未来につなげる場所。

ミュージックブーストでは、未経験からプロを目指す方が数多く学んでいます。現場で活躍する講師陣による実践的な授業、デビューをサポートする環境、そして同じ夢を追う仲間との出会い。ここでの一歩が、あなたの新しいステージのはじまりです。

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